基本的に1つの証券会社では証券口座を1つしか作ることができません。しかし、異なる証券会社であれば、複数の証券口座を作ることが可能です。
複数の口座を開設する前に、複数の証券口座を作ることで得られるメリットやデメリットをしっかりと理解することがまずは大切です。
この記事では証券口座を複数持つメリット・デメリットをそれぞれ解説します。
証券口座を複数の証券会社で開設できるの?
証券口座はいくつまで開設できるのか
原則1つの証券会社では証券口座を1つしか作ることはできません。
しかし、異なる証券会社であれば、複数の証券口座を作ることが可能です。また、証券口座の保有数には制限はありません。
理論上では証券会社の数だけ、証券口座を作ることができます。
NISA口座は1人1口座しか作れないので注意
少額投資非課税制度であるNISA口座は1人1口座という制限がありますので注意が必要です。
また、既に作っているNISA口座を別の証券会社に変更するということは可能ですが、変更は1年単位などの条件がありますので、NISA口座を開設する際は慎重に証券会社を選びましょう。
証券口座を複数作るメリットは?
新規公開株(IPO)の当選確率が上がる
複数の証券口座を作ることで、IPO銘柄に応募できる数を増やすことができます。応募できる数が増えることで、当選確率もUPさせることができます。
注意点として、IPOに応募するには一時的に資金が拘束される場合があるため、IPO投資では多くの資金が必要になります。
しかし、証券会社によっては、IPO応募時に事前資金が不要なものや1株からIPO応募ができるなどのサービスを展開している証券会社があります。そういった証券会社を活用していきたいですね。
購入できる商品の幅が広がる
証券口座を複数作ることで、購入できる商品の幅が広がります。証券会社によっては、外国株式に強みを持っている会社があります。
特に米国株や中国株に興味があるなど、明確に投資したい商品がある場合は、そういった商品を取り扱っている証券会社を調べた上で、口座開設することをおすすめします。
各証券会社のツールを活用できる
証券会社では、独自の分析ツールをそれぞれ提供しています。無料で利用できることがほとんどですが、一部条件があるものもあります。
複数の証券口座を作ることで、自分に合ったツールを見つけやすくなります。比較検討して、自分に合ったツールを探してみましょう。
「長期投資」と「短期投資」を分けて管理ができる
複数の証券口座を作ることで、「長期投資」と「短期投資」を分けて管理することが容易になります。
1つの口座で「長期投資」と「短期投資」を管理すると頭が混乱して、適切な資産運用が難しくなります。
頭を整理する意味でも、複数の証券口座で管理することをおすすめします。
システムエラーのリスクを低減できる
1つの証券会社だけで口座を開設している場合、その会社のシステムトラブルによって取引ができなくなる可能性があります。
過去には「楽天証券」にてシステムトラブルが発生し、一時的に利用できないことがありました。
2020年03月09日 のニュース
楽天証券で3月9日午前11時ごろ、サービスにログインできないなどの障害が発生した。サービスは11時20分ごろまでに復旧。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う急激な円高や日経平均株価の下落と重なり、Twitter上では不満の声が上がっている。
各社システムは人間が作っているため、100%システムトラブルが発生しない証券会社はありません。
複数の口座を作ることで、そういったトラブルのリスク低減ができます。
証券会社が倒産した際のリスクヘッジができる
証券会社で運用している資産は「分別管理」されており、万が一証券会社が倒産しても、顧客の財産は全額守られます。
日本証券業協会のQ&Aにも、以下のように解説されています。
Q:証券会社が倒産した場合、預けている証券やお金はどうなるの?
A:証券会社が投資家から預かっている有価証券や金銭は、万が一、証券会社の経営が破たんしたとしても確実に顧客に戻るように、自社の資産とは区分して管理することが法律で義務付けられています。これを「顧客資産の分別管理」といいます。
それでもなお、顧客資産の円滑な返還が困難となった場合は、日本投資者保護基金から1顧客当たり1,000万円を限度として補償されます。
商品によっては、商品そのものが返還されるのではなく、換金されて返還される場合もありますので、その時の市場価格(時価)によっては損失が発生する場合もあります。
なお、信用取引や先物取引などについては、一部、分別管理の対象とならない場合もあります。
尚、原則「分別管理」によって資産は守られているのですが、何らかの理由で全額返還が難しい場合は、1顧客当たり1,000万円の上限で補償されることになります。
全額返還が難しい場合の例として、例えば、「関係者による横領により、資産が〇〇億円流出する」といったリスクも考えることができます。
私たちが取れる対策としては、運用資産の全てを1つの証券口座にまとめるのではなく、複数の証券口座にも資金を分けておくことで、リスク分散をすることができます。
証券口座を複数作るデメリットは?
IDとパスワードの管理が面倒
証券口座を複数作るとIDとパスワードがそれぞれ発行されるため、管理が面倒に感じる方もいると思います。
もし、IDやパスワードを忘れてしまった場合、再発行の手間も発生してしまいます。
メールやお知らせなどの確認が手間
証券口座を複数作ると証券会社から送られてくるメールやお知らせの確認作業が増えてしまいます。
メールやお知らせが多すぎると大切なメールを見落としてしまう可能性が高まってしまいます。
証券会社ごとの損益計算が複雑
複数の口座を使う場合、全体の資産状況を把握するためには、自分で計算をする必要があります。
また、それぞれの口座での投資成績が、プラスかマイナスかを管理する必要もあります。
全ての口座でプラスであればよいのですが、マイナスが発生している口座がある場合は、損益通算による税金の還付を受けるべきかなどの検討をする必要があります。
目的別のおすすめ証券口座は?
複数の証券口座を開設する場合、どの証券会社がいいだろうと悩む人は多いと思います。
そこで今回は目的やニーズ別におすすめの証券口座を紹介します。
メイン口座におすすめ | 楽天証券 | |
外国株に投資したいなら | マネックス証券 | |
IPO投資におすすめ | 松井証券 | |
1株単位の少額投資なら | SBIネオモバイル証券 | |
LINE証券 |
メイン口座におすすめ「楽天証券」
楽天証券は、初心者にも操作がしやすく、圧倒的におすすめの証券会社です。
楽天グループのサービスですが、「楽天証券」は単体でもおすすめできます。
外国株に投資したいなら「マネックス証券」
マネックス証券は、米国株・中国株の銘柄取扱い数が圧倒的に豊富です。
外国株に投資をするなら、「マネックス証券」が一番おすすめです。
IPO投資をやりたいなら「松井証券」
松井証券はIPO抽選時に入金不要です。
購入代金はIPOに当選した後に用意すればいいため、抽選には口座残高なしでも参加できます。
抽選のために資金を用意する必要がないので、お手軽にIPOの応募ができます。
少額投資をするなら「SBIネオモバイル証券」「LINE証券」
通常日本の株式は100株単位での売買しかできませんが、「SBIネオモバイル証券」や「LINE証券」では1株単位での取引ができるサービスを提供しています。有名企業の株でも、数千円から投資でき、分散投資をしやすいのが魅力です。
また、「SBIネオモバイル証券」は1株IPO投資のサービスも提供していますので、IPOに興味がある方にもおすすめです。
まとめ
今回は複数の証券口座を作るメリットやデメリットを解説しました。
証券口座を複数作るメリット
- 新規公開株(IPO)の当選確率が上がる
- 購入できる商品の幅が広がる
- 各証券会社のツールを活用できる
- 長期投資と短期投資を分けて管理ができる
- システムエラーのリスクを低減できる
- 証券会社が倒産した際のリスクヘッジができる
証券口座を複数作るデメリット
- IDとパスワードの管理が面倒
- メールやお知らせなどの確認が手間
- 証券会社ごとの損益計算が複雑
メリットやデメリットをよく理解した上で、自分の目的に合った証券口座をぜひ選んでみてください。
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